利上げでも円安になりやすい状況
日本銀行の植田総裁が利上げを発表して外国為替市場は円高方向に大きく振れたものの、じわじわと円安方向に戻されています。金利操作により、外国為替市場は一時的に大きく動きますが、為替レートは市場だけで動いているわけではありません。そこで円安方向になりやすい材料をいくつか整理してみました。
・貿易収支の悪化
こちらは多くの方がご存じのように日本はエネルギー資源を筆頭とした輸入の比率がどんどん増えています。輸入が多くなれば外貨の流出が大きくなります。
・米国を中心とした外国株の直接購入や投資信託を通して外国株が多く買われている
新NISAを中心に貯金から投資へという政策に後押しされて、多くの方が外国株や投資信託を通して外国株を購入することで、外貨流出が大きくなっています
・外資系企業の躍進
IT業界はデジタル赤字と言われて、米国企業への依存度が高く、また誰もが知るマクドナルドやスターバックス、ディズニーなどのロイヤリティも大きな支出となっています。
・再保険市場への流出
日本の保険会社はリスク分散のために、引き受けた保険料を外国の再保険市場に一定の割合を出していますが、各社ロットが大きいため、国家単位でみても再保険市場への外貨流出は少なくない数字だと推察できます。
・大企業の海外支店での売上、及び利益が円転されない
これはおそらく最も大きい要因ではないでしょうか。海外支店での売上や利益は帳簿上では円で計上されるが、実際には円転されずに現地で再投資されるケースが多く、キャッシュフロー上では外貨が入って来ず、円が買われない
米国を中心に他国は今後利下げをして景気上昇を促していくことが予想されますが、日本は逆にマイナス金利を解除、利上げへと舵を切りました。上記のような要因により、かつてのような円高の時代が来ることは中々考えにくく、むしろ円安に振れやすい基盤ができてしまっているのではないでしょうか。