人気のデラウェア法人
デラウェア法人(Delaware Corporation)は、アメリカ・デラウェア州法の下で設立する法人のことですが、世界的に有名で、特にスタートアップや上場企業の多くがデラウェア州で法人登記をしています。
多くのVC(ベンチャーキャピタル)は投資契約書をデラウェア州法準拠で標準化しているため、スタートアップ企業が資金調達しやすく、NASDAQ・NYSE上場企業の約65〜70%がデラウェア法人と言われています。
デラウェア法人には次の特徴があります。
① 本社所在地はどこでも構わない
実際のオフィスはニューヨークやカリフォルニアにあっても、登記上の住所がデラウェア州であれば、デラウェア法人となります。
② 遠隔で登記・管理が可能
世界中から設立でき、海外企業も利用しやすい。
ただし、銀行口座開設時にはサイナーが現地渡航の必要有。
③ 州外で事業をしている場合、デラウェア州法人税は課されない。
実質的な「タックスヘイブン的州」として人気があります。
無形資産(商標・特許など)の管理会社を置くことで、節税スキームに使われることもあります。ただし、連邦税(Federal Tax)や他州での事業税は別途課税されます。
つまり事業を行っている場所での納税は発生するということになるため、日本から設立する場合、日本の居住者がデラウェア法人を持つと、日本の「外国子会社合算税制(CFCルール)」の対象となることがあるので、実体のないペーパーカンパニー扱いにならないよう、会計・契約管理が重要となります。
☆主な税制
・年間フランチャイズ税:400〜数千ドル(スタートアップや中小企業なら、通常は年間 300〜500ドル前後 で済みます。)
・基本税率:8.7%
ただし、デラウェア州内で事業を行っていない場合は非課税です。
例えば「登記はデラウェア州」「実際の事業は他州または国外」という場合、デラウェア州法人税は 0円 になります。
・小規模ビジネスや海外事業者に人気のLLC(Limited Liability Company)
こちらは課税方法が異なります。
法人税:通常、課税されない(パススルー課税)
所得税:会社ではなく、出資者個人に課税(個人の確定申告で報告)
フランチャイズ税:固定300ドル/年のみ
④設立・維持コスト
設立費用:約200〜300ドル
Registered Agent費用:約100〜200ドル/年
☆有名企業の例(すべてデラウェア法人)
Google LLC
Meta Platforms, Inc.(旧Facebook)
Tesla, Inc.
Apple Inc.
Coca-Cola Co.
これらは本社がカリフォルニアやジョージアなどにあっても、登記上はデラウェア州です。

