HSBC、政治の板挟みに

HSBC株が引き続き、低空飛行している。共同通信は下記の記事を掲載しています。

火種の1つは、中国本土事業への懸念である。中国商務省は19日、中国企業の合法的な権益を損ねると判断した外国企業をリスト化し、輸出入や投資を制限する「ブラックリスト」規定を発表した。

この規定では、中国の国家主権や発展の利益に危害を及ぼすことなどをリスト入りの対象となる行為とする。リストに入った海外の企業や組織には、投資の制限または禁止、関係者の入国の制限・禁止といった制裁を科すとしている。香港メディアによると、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報はHSBCが同リストに組み込まれる可能性があるとし、投資家の間で本土事業の先行き懸念が強まったとみられる。

英国に本拠を置くHSBCだが、欧州事業が足を引っ張る一方で、主力としている香港事業や好調な本土事業の重要性は高まっている。20年6月中間期決算は、調整済み税引き前損益は欧州事業が19億5,900万米ドルの赤字となった一方、本土事業は14億9,800万米ドルの黒字と、新型コロナウイルスの感染拡大で景気が悪化する中でも利益を確保した。

ただ、HSBCは中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の幹部がカナダで拘束された事件で、米当局に協力したとして中国メディアから非難を浴びた。今年6月末に施行された香港国家安全維持法に関しては、同法支持を表明し、米国が名指しで批判。英国に本拠を置く一方で、香港・本土事業を主力とする巨大国際銀行として、米中両国の対立の板挟みになっている側面がある。

ノエル・クイン最高経営責任者(CEO)は中間期業績発表の際、米中関係の緊張激化などを懸念材料に挙げ、厳しい環境に置かれていると認めた。